Story of Tax Examination 税務調査物語 経費編

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領収書綴りを見直してみませんか。

vol.19

 1年間の領収書は領収書綴りに綴られています。一度貼り付けてしまうとほとんど人は振り返って見ません。張るのは一瞬で張ってしまいます。この領収書綴りを1時間くらいかけて眺めてみませんか。
 税務調査時に調査官はじっくり時間をかけて、1時間くらいかけて眺めます。これは必ず行います。よく見ているとけっこう面白い領収書があります。最近のレシートには商品名が明確に記載されています。
 調査官「総勘定元帳に書籍代とありますが、領収書にはコミック本と書かれている本が全般的に多いですね。」、納税者「しまった!(子供のまんが本だ)」
 調査官「贈答品と書かれたデパートの領収者が多いですね。そんなに頻繁にどなたに贈られるのですか?」、納税者「しまった!(女房の服や宝石だ。)」
 調査官「違う飲食店での飲食代の領収書なのですが、同じ様な筆跡のものが何枚もでてくるのです。先ほど別の資料で書いていただいた社長さんの筆跡にも似ていますね。偶然の一致なのでしょうかね。」、納税者「しまった!(私が書きこんだ白紙の領収書だ。)」
 調査官「この旅行代理店の領収書ですが、旅行の時期がお正月のようなのですが。お正月もお仕事されるのですか。それも4名となっていますが社員さんも一緒なのですか。」、納税者「しまった!(正月の家族旅行だ。)」
 領収書を確認してみてください。領収書は1年間の御社の歴史ストーリーです。思わぬものが経費になっていないかどうかこの機会によくごらんください。

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経費の事業使用割合は堂々と主張してください。

vol.18

 個人事業を青色申告にして経費処理していくと、生活費と仕事の経費との区別がつきにくい支払が必ずでてきます。仕事に関係ある人との飲食代や仕事にも生活にも使う乗用車に関する車両経費(ガソリン代・車検代・自動車税・交換タイヤ代・修理代・自動車保険料・減価償却費などです)または、仕事の場と生活の場がいっしょ場合の建物や土地の固定資産税、家の修理費、地代や家賃、光熱費(電気代・ガス代・水道代・灯油代等)これらは家事関連費と呼ばれ仕事にダイレクトに Necessary なのかどうか問わてきます。これを決めるのは皆さんです。
 仕事に使う割合を事業使用割合といいます。税務調査官はたとえば「あなたの乗用車の事業使用割合は100%ですが、どうやって計算されましたか?」と必ず聞いてきます。皆さんはこの事業使用割合をきちんと説明できますか。納税者「他の人もこんなもんなんじゃないのでしょうか?こうやっている話を聞きましたが。」、調査官は「人によって千差万別なものですから、一般的にこうなるという指標はありません。納税者の皆さんが自らで計算してもらうことになります。」 納税者「乗用車の100%というのは仕事にしか使わないからです。だから100%にしました。」、調査官「そんなはずはないでしょう。休日には使うでしょう?」、納税者「いえ、一切使いません。車に乗りませんから。」とつっぱったのですが、調査官に押し切られ、結局、調査官がいう「全く私生活で乗用車に乗らないというのは絶対不自然ですから、10%は生活分です。」ということになり、乗用車の減価償却費、車両にかかわるガソリン代他のすべての経費を10%否認され、過去3年にわたって修正申告をすることになりました。過少申告加算税も取られ、延滞税も取られました。
 本人は税務調査まで「売上のごまかしなんかないから大丈夫」とタカをくくっていましたので、調査後は大変なショックでした。事業使用割合は事前に十分検討し、その結果は税務調査でも堂々と怯まず主張続けましょう。 

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青色専従者給与も特別な経費です。

vol.17

 青色申告は戦後昭和25年にアメリカのコロンビア大学のシャウプ教授の勧告により、当時自分から申告する人がいなかった時代に、自分で申告して納税するという申告納税制度を全国に普及するために導入された制度です。
 青色申告した人には特典を設けて税の優遇をしました。初年度は全く採用者はいなかったようですが、2年目から徐々に採用され現在ではかなり浸透しています。こんなに浸透している現在は、もうこの青色申告の役目は終わったのではないかと思っていますがいまだ廃止していません。
 昭和27年当時戦前の家長制度が色濃く残り、個人事業の利益は家長たる世帯主に属している実情が多く、家族間で給料を支払う慣行がありませんでした。まして、帳簿がない時代ですから家族に給料を払った事実が確認できないのが現状でした。そんなずさんな時代にできた法律ですから、税控除に条件が多いのです。条件を満たさなければもちろん税控除させないのです。
 そのいくつかの条件の中で最も重要なことは、支払額を税務署に届け出ることです。届け出ていないものは税控除できません。また、支払していなければなりません。支払したことに仮装すると税控除できません。現金出納帳か預金通帳から必ず支払が出ていなければなりません。特に賞与は大きいのでなおさらです。
 青色申告は納税者自身から、「この制度を私は実行しますので、特例恩典の税控除を認めてください。」と届出るものなので、それをしないと恩典権利剥奪なので、税控除していたものができなくなるために追徴税額がでてきます。世間の常識と随分異なる常識が、「脱税していないのに税金の追徴をとられてしまった。」という税法特有なことに落ちいてしまうのです。
 くれぐれもご注意ください。

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役員報酬は特別な経費なのです。

vol.16

 役員報酬つまり自分の給料、奥さんの給料は他の経費とは違っています。お金を支払って領収書をもらってくる経費と本質的に違います。領収書をもらってくる経費は外部にお金が出てしまいます。しかし、役員報酬は会社にすれば外部ですが、社長同族一家の懐に入るため完全に社外に出ているわけではありません。そのため、その額の決め方や支払方は経営者の自由になるものです。
 そこで法人税では基本的に税控除させないことにしているのです。基本はだめだけれどある条件を満たせば税控除できる、という制度にしたのです。
 その条件は定期同額給与、毎月同じ金額ということです。いったん定時株主総会で決めたら翌年の定時株主総会まで変更できないということです。定時株主総会で変更したら翌年の株主総会まで変更できないということです。変更したら条件を外れたから税控除できないよということなのです。
 新年度がスタートして、業績が順調で自分の役員報酬を上げて利益を圧縮したい人もいるでしょう。不況で赤字になりそうだから自分の給料を下げてなんとか黒字を銀行に見せたい人もいるでしょう。年度のスタートを待ちに待って、新年度いきなり自分の役員報酬を上げたい人もいるでしょう。自分の給料なのだから勝手にやって文句を言われる筋合いはないと思っている人もいるでしょう。
 原則はダメです。やってはいけません。条件やぶりです。条件やぶりはしっぺ返しを食らうのが税法です。もちろん、例外もありますので税理士に相談し慎重検討してください。
 

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世界一帳簿の精密さを要求する日本の税務当局

vol.15

 世界のほとんどの国で納税があります。私はまだ海外数カ国しか帳簿をみていませんが、帳簿が何と簡単な記入方法なのかに驚かされます。日本では平成元年に消費税法が施行され、それからは帳簿の書き方が世界一複雑になったと私は思っています。そのため実務の世界は大変です。
 仕入や経費の記入は、支払った相手先の正式な氏名名称、仕入た日付(あくまで仕入日です。帳簿に記入した日や先払や後払などでお金を支払った日とも違います)、何を買ったかの内容、金額です。具体的には NTT東日本ではなく東日本電信電話梶A21年10月分、電話料 15,329円です。これが原則です。これを一つ一つ細かく記入しないと,消費税法では帳簿が存在しないことと同じに扱われるのです。そのデメリットはいったいどこにでるのでしょう。
 消費税は売上の5%を納税するのが原則です。しかし、仕入をはじめ経費に5%税額がかかっていますから、この分をある条件のもとで、仕入や経費の税額を売上の税額から税控除します。これを仕入税額控除というのですが、ここでの注意はある条件のもとなのです。ある条件とは、先に書いた細かい帳簿の記入を事業者側(会計事務所の代行も含みます)でしなければならないこと、「および」、消費税の記入された請求書等が保存されていることです。
 帳簿に先の項目が書いていないとかまたは全く帳簿をつけていないとか、請求書をなくしてしまったらどうなるのでしょう。話は簡単です。仕入税額控除ができなくなるのです。
 たとえば売上の消費税が500万円、仕入の消費税が400万円、通常は税務署に差額の100万円をきちんと納税していたとします。税務署の調査官が「帳簿はありませんか?」納税者「はい、支払の請求書や支払った領収書は全部とってありますが帳簿は書いていません。」調査官「本当ですか?何もないのですか?」納税者「メモがありましたが捨てました。・・・・・」
 この人は追徴消費税額は400万円になるのです。結果的に二重納税もやむを得ないのです。それが現行の制度です。そうならないためにも会計事務所は記帳に神経を尖らせています。帳簿の書き方いかんで納税が変わってしまう。世界にそんな税制は他にあるのでしょうか。



 








  

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