Story of Tax Examination 税務調査物語 経費編

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作業現場の「まいった!」

vol.1

 作業現場には在庫以外にも、機械装置・工具器具備品・車両などの資産があります。もちろん固定資産の台帳に記載されているものばかりのはずです。ところが、無いものもあるかもしれません。すでに廃棄してしまった機械装置が未だ資産台帳に計上されていることはよくある話です。なぜなくなったのか? どこへ行ったのか? ロシア人やイラン人に売却してしまった人もあるかもしれません。新品を買った際に業者に持って行ってもらったかもしれません。 そこでの問題はタダだったのですか? 売ったお金が計上漏れしていることはないですよね。 
 さらに、何年か前の景気のいい時に、もう使わなくなった資産を有姿除却( 実際の廃棄はしていないのですが、今後使用する可能性が全くない場合、スクラップ価格を差引いて除却損を計上できる方法) して既に税金から控除している場合に、ある日突然の特需でまた使用を再開できた場合、その過去の損をなかったことにしてまた資産を帳簿にあげねばなりません。ひとつずつ機械を固定資産台帳と照らしあわせていく調査官もいます。うっかり忘れていると多額の「除却損否認!」「まいった!」「なぜこんなことになるんだ、何が悪いんだ!」となってしまいます。
 このことは会計事務所は帳簿の中からでは到底わかりません。そんなとき一言お話ください。「捨てた資産、また使い始めたよ」と
 

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経理担当者には詳しく話にくいことは税務署にとって最高の情報です。

vol.2

 「何を調べに来るのだろう。」「うちの会社は日々優秀な経理担当事務員が一生懸命にそして几帳面にやってくれるのにね。」という社長さんは多いです。
 それでは社長さんにお尋ねします。「社長命令で、優秀な経理担当者の判断を抑えた経費処理をしていませんか?」たとえば、会社に出社できない親族(身内)役員への給料、従業員さんより親族に片寄った支給額の給料・ボーナス、親族のアルバイト、親族だけの食事代、社長一人だけの飲食代、親族別会社への臨時の委託料、協力会社への臨時の外注費などは社長さんが独断で決めているものです。これが外部から見ると節税というより、かなりグレーに見えてくるものなのです。社長の判断ですから優秀な経理担当者といえども反対意見は言えるはずがありません。このことが御社独自のイレギュラな処理に見えるのです。そして調査ではよそであまりされないこの処理をピンポイント攻撃してほじくり返し、「これはやりすぎだからダメです。追徴を払ってください。」とやるのです。
 これらを計上する時はWhy(なぜ支払うのか)をきっちり理論武装して証拠づけしていきましょう。「当社はこのためにこれをしているのです。他社と違っていてもおかしくないでしょう。」これが節税への道です。会計事務所とはじっくり話し合いながらすすめていきましょう。
 

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出社しない役員に給料を払っていることがなぜ税務署にわかるの?

vol.3

 損益計算書のなかで金額の大きい項目は売上、仕入、外注費、人件費(給料と厚生費)です。この4つを調べれば税務調査の80%くらいは完了です。それも他の会社にない当社だけのイレギュラなところを捜せば会社の特徴をチェック完了です。人件費のうち役員報酬についてはもらっている金額を税務署に内訳書という形式で報告することになっていますので、あらかじめ申告書が提出された段階で、家族の何才くらいのだれがいくら給料を取っているかわかっています。出社しているかどうかは常勤か非常勤かではっきりします。常勤と記入があってもその実態を聞きたくなるのが人情でしょうね。
 税務署には社長一族の給料だけでなく、社長に払っている家賃や地代、役員借入金につけて払った利息なども報告済みなのです。法定で強制されてる報告事項です。このような情報をたよりに税務調査時には「え!」と社長さんが思うことでも質問してくるのです。
 証拠資料はいつもつくるようにしましょう。調査官の「なぜ、それを払わなければいけないのですか?」に社長さんの「余計なお世話だ1」が通用しない場合もありますから。

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腹の探りあい。

vol.4

 税務署調査官がソファーに座ると談笑?が始まります。それからの約30分はまるで腹の探り合い。社長は「うちの会社の何が悪いんだろうか。間違ったことがあるんだろうか。」調査官は「この社長は納税意識の高い人なのだろうか、隠したがる人なのだろうか、食ってっ掛る人だろうか、おとなしい人だろうか。」実はこの瞬間は両方で緊張の瞬間です。腹の探りあいです。
 調査官は「ご家族はお元気ですか?」社長は「うちの年寄は最近寝たきりになってましてね。」調査官は「それは大変ですね」といいながら申告資料をちらっと見て、おばあちゃんは役員報酬をきっちり貰っていることを確認した後に、調査官は「おばあちゃんはお話しするのも大変なのですか。」とさらに聞き出すと、社長は「最近ボケたみたいでね。」とうっかり話してしまう。次の日「おばあちゃんに給料が出ていますが、仕事なんかむずかしいんですよねー」と切り出され、非常勤の役員報酬の実態が争点に・・・・・・
 大学に行っている子供さんへのアルバイトを経費にしている人に、調査官は「大学の仕送り大変ですね。」社長は「仕送りしてやってるのに、家に帰ってきやしないんですよ。勝手なもんですね。」調査官「うちの子もそうですよ、みんなそうですかねー」といいながら次の日、アルバイトの実態が争点に・・・・・・
 誘導尋問じゃないかと言ってもあとの祭りがよくあります。

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身内への経費には調査官の目が光ります。

vol.5

 会社の場合、身内への経費(給料や家賃です)はどう決めますか?儲かっているかどうかを確認して、儲かっている分だけ給料をとったり、家賃をとったりしたいですよね。なぜって、儲からなければとれないし、とれるなら儲かったもの全部が自分の給料と普通考えますよね。実は税法はそう考えさせないところに注意が必要です。
 儲かっているのを確認してから給料を決めて家賃を決めて、会社の利益をなくしていくことを税法は利益調整といって禁止しています。これは身内の会社だからできることです。身内でなければ最初に給料額を決めて働きますし、事務所や工場を貸しているならば最初に契約して金額を決めます。「いわれてみればそれが自然だな」となります。
 利益調整は身内の親族会社だからこそできることであって、親族企業以外ではできません。税法はこれを同族会社とよんで利益調整には目を光らせています。第三者とならできないことを、身内相手だからいとも簡単にやってしまうこと、第三者間に置き換えると自然でない行為に調査官は目を光らせることになるのです。
 今までサラリーマンだった普通の方会社を興しても、このことはわかりませんよね。知らない人が損をする。それが税法です。普通の人は利益調整できることを当たり前と思い、会計事務所はそれができないことを当たり前と思う、この食い違いの溝を埋めることが私たちの仕事です。

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