Story of Tax Examination 税務調査物語 売上編

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2日間の実地税務調査で終了しなことが多のです。

vol.11

 税務調査は法人で2日間、個人で1日です。しかしこれは税務署の実地調査です。この間に膨大な資料収集としてコピーをとっていきます。最近の若い調査官は税務署の携帯コピーを肩に担いでくる人が多くなってきました。数十枚のコピーをとっていきますよ。証拠のコピーが資料作りの原点のようです。
 資料を2日間で収集し署に持ち帰って整理するやり方のようです。年間約調査官一人50件くらいの調査ですから、同時進行でいくつか抱えている人が多いのでしょう。最終の返事が1カ月かかることもしょっちゅうです。1カ月引っ張って何事もなく終了することも多いことうをご了解ください。その間に個人口座を銀行に行って職権で調べていることもあるのかもしれません。しかし、必ずしもそればかりではなく、調査官個人の事務能力マンパワーで単に仕事が滞っていることもよくあるのが現状のようです。

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警察に通報した人もいます。

vol.12

 現在税務調査官は必ず入室した際に身分証明書をみせます。自分は国税調査官である身分証明書です。きちんと提示しますのでその人の写真と名前をしっかり確認してください。ふつうは身分証明を見せられて、どれどれとじっくり確認する人はいませんよね。あっさりそれを信じて、どうぞどうぞと招き入れます。
 約30年近く前私の知っている税理士で東京で開業している人がこう話していました。地方のお客さまの歯医者さんのところに税務署の調査官が事前通知なく突然来たときのことでした。気が動転しているお客様から「突然2名で来たのですがどうしたらいいですか。」「身分証明書を見せましたか?」「いいえ、本人は税務署から来たと言っていますが何も見せてもらっていません。あがらせていただきますといって今客間にいます。」「警察を呼んでください。正体のわからない人が税務署員を名乗って勝手に上がりこんできた。といってください。」「え!」「本当にそうするんですか。」「はい、私は今東京なので今すぐに行けません。正体不明ですから本当に通報してかまいません。」
 あとは大騒動になったそうです。調査官は本物でした。後日もう一度改めて調査があったそうです。結果は話しませんでした。現在は調査官も身の保全をきちんとしているようです。

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Examination (調査) と Criminai Investigation  (査察)

vol.13

 調査官はいいます。「今回は通常調査ですから」納税者は「??」です。納税者にとっては税務調査に変わりないことは事実です。
 アメリカの内国歳入庁(国税庁と社会保険庁が合体している役所)では調査部門を 「 Examination division 」といい 査察部門を「Criminal investigation division 」といいます。調べるという英語を区別して使っています。Examinationは学校の試験とか化学の検査とかの意味で、決められたことができているかどうかということです。一方、Investigationは厳密に調べるという意味で、取り調べというかなり確証をもって追及するということのようです。
 通常調査とは、学校の先生が教え子の理解度をテストするようなイメージで Examination の意味で税務署は使っているようです。調査官の通常調査に対するイメージは決して「取り調べ」でないのかもしれませんが、納税者にとっては「取り調べ」以外何者でもないのが現状です。
通常調査は確認調査に限定し、チェックリストにあてはまるかどうかの確認を主務とし、違う場合は指導していく体制が望ましいのではないかと考えます。日本の現状の「申告漏れ探し通常調査」のレベルをもっと今後は高めていく必要があるのではないかと常日頃の通常調査の立ち会いで感じるところです。

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尻尾をつかまえる。

vol.14

 辞書に「ごまかしていた事を見抜いて押さえる。」とあります。ごまかしていない人でさえも、何かつかまれているんじじゃなかと思ってしまうのが税務調査ですよね。けれども、通常調査は尻尾をつかんでくるのではありません。
 提出されている確定申告書に決算書や附属の主要な勘定科目の明細内容をつけています。法人の場合、売掛金や買掛金の主要会社別の掛残高とか受取手形の期日や金額、預金の口座別残高、役員別の報酬額、役員に払っている地代家賃などの資料を毎年添付して提出しているため、昨年との違いについては十分に知っているのです。
 極端に言うと会社の数字が苦手な社長さんより、はるかに御社のことを調査官は知っているのです。昨年より売上が減ったり増えたり、利益が減ったり増えたりの事実を承知してから来ています。それを大前提に調査は進んでいきます。
 このことで、尻尾をつかまれているとはいいませんよね。実際に尻尾をつかまれてから来るならば、それはほとんど犯罪捜査ですから皆様には関係ないでしょうね。
 鉄くずのスクラップが高騰した数年前、鉄屑の売却収入を、会社に雑収入として計上せずに、社長個人の懐に入れてしまっているケースが多い会社があったと聞きます。スクラップ業者を先に調査をしてから事前予告のない突然の調査をした時期がありました。これこそまさに「尻尾をつかまれていた」のでしょうね。

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調査官の邪推のきっかけ。

vol.15

 現金で売上して、領収書をお客様に書いてお渡しした場合(レジスターを使用しない会社)の控えは、領収書綴りのなかに必ずあるはずですよね。この分を現金出納帳に書き漏れしていませんか。必ずお確かめください。もちろん、領収書控えをちぎって捨てることは絶対しないでくだい。書き損じも絶対に捨てないで×を書き込んでください。書き損じた失敗と故意に売上を「たった○千円ぐらいだから、なんてことないさ。」という場合と全く区別がつきません。高い金額を表に出し、低い僅少な金額を隠したとしても、疑われたら区別が付きません。「そんないっぱい隠していないよ」といっても1円でも調査官にとっては脱税なので「金額小さいから大目に見ましょう。」とは絶対に言いません。
 調査官は毎日上司に報告します。上司は「現金はきちんと管理されていたか、調査日の今日の残高は実際の現金を合っていたか」と聞かれますので、違っていると調査官は「合っていませんでした。」と報告せざるをえないのです。上司は「現金はドンブリだな」「売上漏れを証憑資料(領収書など)から徹底的に拾い出してこい。」となっていしまいます。
 調査当日、前日くらいまでの現金出納帳上の残高と、実際の金庫の現金を金種別に数えた残高とが一致しないことは、調査官にとって、まるで現金にずさんな会社の調査だという心証になり、「ひょっとしたら隠しているかもしれない。」と邪推されることにもなりかねません。気をつけましょう。

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