Story of Tax Examination 税務調査物語 売上編

  • 在庫編を読む
  • 売上編を読む
  • 経費編を読む
  • 相続編を読む

悪いおみやげ

vol.16

 おみやげは持たせたほうがいいか?よく聞かれるところです。おみたげを渡す考え方は現在全くありません。おみやげを渡さないと調査が長びき、おみやげがでるとすぐ切りあげるということはありません。現在の若い調査官(女性調査官を含めて)はもっとドライです。一通りのことを確認できればそれでOKというケースはとても多いのですよ。要領の悪い調査官の場合もっと調査日数が増えることもたまにあります。
 ただし、お客様への領収書控えに、結果的に計上漏れしてしまった数千円の売上あったときとか、領収書控えの一部が破り捨てられていて、失敗なのか隠したのか疑り深い調査官がなかなか信じなくて、個人の預金通帳を調べ、銀行に行って家族名義を調べたりして売上の入金らしきものはないかどうか探ったためにいたずらに時間が経過してしまうことがありました。
 どんなに小さくても売上の計上漏れは脱税となりますので、おみやげにはなり得ません。このように「こんな小さな金額なんかおみやげだ」と軽率な判断をしてしまってかえって藪蛇になることのないようにご注意ください。

このページトップへ

税務調査官は計数に強い?

vol.17

 税務調査官は短期の税務研修を受けて現場に配属されてきます。それは本格的な研修なのですがそれだけで十分なわけではありません。ほとんどが各税務署に配属されてから現実の実地調査の中で能力を磨いていくことを強いられます。そして、毎回同じようなポイントを確認し指摘ことによりスキルアップしてくるのです。
 特定の項目については突出した熟練者となっています。それが期ずれ(前期にさかのぼって修正して計上すべきか、進行している今期で計上すればいいのか)の調査、平たく言いますと在庫漏れ、売上先送り計上の調査です。そのため、在庫と年間の売上高との比率の推移、在庫と年間の仕入高・外注費との推移については極めて敏感です。特に年間の売上高に比べて在庫の率が昨年より低いことにはとても敏感です。そのポイントに隠された在庫が潜むのではないかと敏感になっているのです。
 「なぜ粗利益率が昨年と比較して低くなるのだ。」「売上に比べ最終の利益率低くなるのはなぜだ。」「なぜ、なぜ、なぜ。」そこに悪意があるか、うっかりミスがあるかを問わず、それを見つけるための計数感覚を研ぎ澄ませています。
 一方、「うちの会社はどうすればキャッシュフローがよくなるのでしょうね。」「設備投資は大きすぎるのでしょうか。」「従業員は多すぎるのでしょうか。」「人件費が高すぎますかね。」「外注に依存しすぎるのでしょうかね。」と聞くと「私たちにはわかりません。それは税理士さんに聞いてださい。」とさらりとかわしていくのです。一点集中主義ですね。




このページトップへ

調査官より社長さんのほうがはるかに計数に強いのです。

vol.18

 経営分析で最初に迷うことは自社がどの業種に属するのかです。同じ業界の中で競合他社と同じ製品を作り、同じ価格政策の中で競争している会社は比率を比較できます。しかし、同業他社と比較できる会社ばかりではありません。外からは同業に見えても中身が全く違う会社ばかりです。それが企業努力です。
 税務署にある実際の詳しい経営データは業種別に集計されていても分析比率に幅のある数値になっているはずです。幅があるデータは現実使用不能です。そうだとすると計数分析でいちばん参考になるのは他社比較ではなく、自社比較それも数年間の自社の流れです。言葉を変えると、前々期・前期と比較して「なぜ売上が減ったのか」「なぜあら利益率が減ったのか」「なぜ特定の経費が増えたのか」を押さえて調査にきます。
 税務署の計数感覚は以上のことを十分踏まえる程度です。となれば、社長さん、みなさんのほうが計数感覚ははるかに強いのです。
 社長さん、税務調査の際には以上の項目をもう一度洗い直してみてください。「なぜ売上が増減したのか。」「なぜ粗利益率が増減したのか。」「なぜ特定の経費項目が増えたのか。」これを再確認しておけば、通常調査は心配ないのです。
 

このページトップへ

見て見ぬふりをしてよ。

vol.19

 調査官に対して「そこまで見ないでよ」「あなたが見て見ぬふりしてくれさえすれば問題はないのに・・・・」とついつい思ってしまうのは人情ですね。「そんなことが本当にあるの?」・・・実はありません。
 税務署の調査官は国家公務員です。公務員である以上公務員の義務にしばられています。その義務のなかに職務遂行・職務専念の義務と法令・上司の命令に従う服命義務があります。毎日上司に当日の調査実情を報告しているようです。公務員は非常に保守的(保身的?)の方が多いようですので、みて見ぬふりは絶対にありえないことなのでしょうね。
 とはいえ本当にないのでしょうか。現場ではあり得るかもしれない話なのですが・・・ 歯切れの悪い話になりました。

このページトップへ

税額ノルマが評価基準?

vol.20

 調査官が雑談であっても絶対に話をしないのが税額ノルマの話です。「ノルマはあるんでしょう?」「いえありませんよ。」「本当にないんですか。」「ありませんよ。」と会話いつも終了させるのです。
 私が彼らの上司ならばどのように彼らを査定するでしょうか。職務専念の義務がある公務員は一生懸命行った自分の仕事の出来ばえをどのように報告するでしょうか。それがコピーの枚数なのでしょうか。最近の若い調査官は自分の目であの項目この項目と確認した証をコピーの数で示している人が多いような気がしてなりません。しかし、税務署のすべての調査官が税務調査に出かけて行って、自分の日当も出ない結果ばかりで「確認してきました。」「はいごくろうさん。」となるのであれ、民主党的にいえば、「この部署の公務員は必要ありません。税の無駄使いです。」となってしまうでしょうね。当然です。となれば、申告漏れを見つけた人を評価するのはとても自然であり、見つける調査官を讃える風土は国家にとって大いに意義あるものになるのでしょうね。
 これ以上はゲスの勘ぐりですが、やっぱりなにがしかの申告漏れ、脱税発見による業績査定は存在するのではないでしょうか。ボーナス査定ではなく、出世こそが御役人のもっとも重要なモチベーションですものね。
 
 

このページトップへ

このページのトップへ
© Copyright 税理士法人 PierTax all rights reserved.