Story of Tax Examination 税務調査物語 売上編

  • 在庫編を読む
  • 売上編を読む
  • 経費編を読む
  • 相続編を読む

取引先の住所録はありますか?

vol.21

 主要な取引先の名称、住所は法人税の申告書の内訳書の中で何社かを記入して提出することになっています。この会社は、売上の取引先が何社くらいで、毎年継続的な取引先が多いのか、単発の売上先が多いのか、はもうすでに承知のはずです。何を調べるのでしょう。
 住所録にははもうすでに取引が無くなっている会社もあるでしょう。さらに住所録は売上先だけとは限りません。たとえば年賀状は仕入先や外注先にももちろん出しますよね。ほとんど取引のない仕入・外注先の記入もあるでしょう。税務署に見つかると多少説明に時間がかかってしまう相手先もあるかもしれません。とくに欄外にいろいろ手書きの記入がある場合があります。「この住所に連絡しない。」とか「会社に資料を出さずに別の人に出す。」とか意味不明のことが、意味不明というか書いた人にしか内容がわからないものがあるかもしれません。
 じっくり住所録をご覧ください。「こりゃあ、作り直したほうがいいかな。」という方は早めに再作成しておくといいのではないでしょうか。余計な疑いのもとです。

このページトップへ

突然、予告なしに税務署がきた!

vol.22

 突然、予告なしに税務調査をする担当の人が税務署には何人かいます。個人・法人の部門にそれぞれいます。どうゆう調査なのでしょうか。あらかじめ調査日程を決めて当日訪問しても、現状が隠ぺいされるかもしれないと税務署側で一方的に判断したものです。とくに、現金の取引の多いところが狙われやすい傾向にあるようです。売上は現金、仕入も現金、経費の支払いも現金、そんなケースは稀なケースですよね。
 昨今の取引が複雑になってきているせいか、たとえばインターネット取引について、税務署が詳細を把握していないケースが多いので、突然攻め入って現状を押さえるというケースもあるようです。
 御心配なくほとんどのケースは捜査令状のある強制調査ではありません。あくまで予告がないだけの任意調査です。任意調査ということは当日調査を断ることができます。いいなりに金庫をあげ引出しを見せ、裸にならなければならないわけではありません。帰っていただくことができます。むしろ改めて、当日の忙しさを説明し、調査日程を決めて帰っていただいたほうがいいです。
 最近妙なのが、突然の調査にも関わらず、売上を隠ぺいした事実が発覚しているのかというと、そういうケースではない事が多いのです。いったい、なぜそうするのか?ゲスの勘ぐりですが、まるでタレコミ情報で税務署が動いてるように私には見えるのです。そういえば内部告発者を保護する法律もできましたしね。




このページトップへ

パソコンを見せてください。

vol.23

 わたしたちの仕事は毎日必ずパソコンを使います。パソコンは必需品です。それと同じように30歳代、40歳代の調査官は毎日パソコンを使ってます。それも世の中すべてがWindowsです。誰のパソコンであっても、開いているものを覗くための知識はみんながもっているのですから、いとも簡単に他人のパソコンを覗けてしまうわけです。ワード、エクセルさらに財務会計は簡単に操作できてしまいます。
 ただし、税務署の調査官が勝手に他人のパソコンを開けません。もちろん皆さんの承諾が必要です。任意と言っても、パソコンはあまり見せたくないですよね。見せないためにも、最低条件として、調査に関係のある会計の資料は紙ベースで必ず打ち出しをしておいてください。最低でも売上資料と総勘定元帳と現金出納帳は打ち出ししてください。それがでていないと、「パソコンを見せてください。」「このファイルに何があるか見せていただけませんか。」と痛くない腹を探られてしまいます。
 彼らはパソコンに強い世代なのですから、どんなものが保管されているのか、事前確認しておいてください。昔は調査時に「机の引出しを開けていただけませんか?」でした。これからは「パソコンを開けていただけませんか?」に変わってしまうのでしょうね。

このページトップへ

税務署が判断する「ずさん」とは。

vol.24

 井戸端会議で「あの人、税務署にやられたんだって、きっと、よっぽどずさんだったんだね。」と聞いたりします。ずさんな人という言葉が、売上を隠していたことの代名詞になっているように聞こえてきます。世間の噂はともかくとして、税務署はどんなことを「ずさん」と考えるのでしょうか。この「ずさん」にも段階があるよう思えます。私見ですが。ずさんのレベルを3段階にしてみました。
 フェーズ3(最高のずさん) 売上を隠し、架空経費を控除し、悪意をもって故意に脱税する段階。これは発覚し納税全部済ませ、重加算税の罰金をたっぷり払わされ、その後に検察庁に告発される最悪のパターンです。
 フェーズ2(中くらいのずさん) 売上はもれなく申告し、経費もきちんと申告している。しかし、証拠書類を捨ててしまって立証できるものはなくなっている段階。税務署にあくまで疑われて、税務署もそれが本当かどうか確信できないので、取引先や銀行を調べて、数か月調査が長びいて決着につくパターンです。経営者も不安だと思います。
 フェーズ1(これをずさんというの?と驚くレベル) 売上帳の記入はバッチリ、経費の架空などなく生活費を経費に入れることもない、領収書の保管もバッチリ。現金出納帳記入もバッチリ。ただし、現金出納帳は記入してあるが現金残高が記入していない、現金残高の記入があるがマイナスになっている、または実際の現金残高とまるで違う金額になっているパターン。奥さんが一生懸命経理業務をしていただいているものであっても、こうなっていると税務署の評価は「ずさん」なのです。
 とくに、個人事業は恐ろしいもので、現金出納帳のよしあし、言葉を変えると日常の現金管理が「ずさん」のバロメーターになっているのです。ご注意ください。





 

このページトップへ

パソコンの会計ソフトの落とし穴

vol.25

 パソコンで利用できる格安財務会計のソフトは大変よくできています。どんな価格の商品でも複式簿記が自動的にできるため、簿記会計の知識がない方にとって大変助かる商品です。現金出納帳を手で書くまでもなく、毎日現金勘定に入力していれば全くい同じことになります。
 しかし、ここに大きな落とし穴があります。あまりに簡単に入力することができて、現金残高も自動的に計算してくれるので、入力ごとにでてくる残高が現実の残高とあっているかどうかが問題になります。一方的に計算される残高は手元の金庫との不一致になりがちです。毎日残高合わせをして、確認している方には全く何の問題もありません。問題は忙しいということで領収書を見ながら、何日かおきまたは一か月まとめ入力する方です。調査官が訪問すると、まとめ入力していることが会話の中でわかってしまう可能性は高いのです。
 この残高が現実の現金と不一致の場合は、パソコン上での現金勘定は現金出納帳ではないことになり、せっかくの入力で複式簿記をやっても青色申告ではないと認定される可能性があるからです。そうなったら大変です。
 青色申告で備える帳簿は実際の現金の動きと合致していて初めて帳簿といえます。さもなければいかに精密な会計ソフトといえども単なるメモになってしまうのです。ご注意ください。

このページトップへ

このページのトップへ
© Copyright 税理士法人 PierTax all rights reserved.