Story of Tax Examination 税務調査物語 相続編

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子供の預金の残高証明をとったことがありますか?

vol.11

 子供の名前の預金はありませんか? 子供のことが心配なのはみな同じ、子供は平等に、といって子供さんを平等に彼らの名前での定期預金ありませんか。
 ちなみに、残高証明書をとってみてください。ご自分と奥さんと子供さんと全員分です。子供名義の定期預金、親のご自分がハンコを管理しているものです。残高証明書を全員分見比べてみてください。不自然さがありますか。「子供の年の割には預金が多いなあ。」とか「妻の収入の割に預金が多いなあ。」とかを見てください。
 調査官の「なんでこんなに定期預金があるのですか。」に答えられますか。さらに、万が一の場合は答えるのはあなたではありません。すべて奥さんか子供さんなのです。奥さんや、子供さんにこれを説明できますか。
 この残高証明の金額を奥さんや子供さん本人が知らないときは、「これは生前にすでに贈与を受けたものです」とは言えないでしょうね。虚偽になりますね。

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なぜ自分の財産を税務署がわかるのか

vol.12

 「財産及び債務の明細書」という提出物があります。所得税の確定申告書と一緒に提出しなければならないものです。ただし、年間の所得金額が2,000万円を超える人だけです。土地建物や銀行預金などの財産及び借入金などの債務を記入しなければなりません。
 そうです。税務署に自分の財産を報告しなければならないことになっているのです。罰則規定がないために中途半端な書き方になっているケースが多いのですが、最近税務署はこれを確認しているようです。中途半端であれば再提出のお願いをしているようです。
 相続税を補足するための重要な資料です。相続税は、生前において完璧には補足しきれなかった個人の所得を最終段階の死亡時に完全補足してしまおうという税金です。もちろん社会政策上、お金持ちから税金をもらって貧乏な人に所得を再配分し、平等な社会を作る意図はありますが、今後課税最低限を下げてくれば多くの人が相続税の対象となってくるでしょう。

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数年前売った土地のお金、どこにいきました?

vol.13

 住んでいる家の前の道路が拡幅されることのなりました。お父さんの土地が広かったので、家はそのままで、敷地の一部が収用されて数千万円のお金がお父さんの口座に入金されました。幸いなことに所得税の確定申告になり、このお金は公共の道路を作るということで非課税であるとわかりました。ところが5年後、ガンが悪化してとうとう亡くなられてしまいました。亡くなってから10か月の相続税の申告も無事終わり、それから3年が経ったある日税務署からの調査の知らせです。
 調査当日開口一番、調査官は「8年前に土地を売ってますね。当時確定申告書が提出されていますので金額は承知しています。相続税の申告書にあまり現金預金が計上されていないのですが、お亡くなりになったときはもうお金を使い果たしていたようですね。ところで、そのお金どう使われたのかおわかりですか?」、相続人「え!」
 この先どうこたえるかで税務調査ストーリーはまったく違ってくるのです。

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数年前売った土地のお金、どこにいきました?2

vol.14

 調査官「お父さんが8年前にお売りになった土地のお金はどうなったかわかりますか。」、相続人「え!」、
 相続人「突然いわれたので思い出せませんでしたが、そういえば3年前に3人の子供が500万円づつもらいました。」、調査官「贈与税の申告はされましたか。」、相続人「いえ申告していません。」、相続人「兄弟3人とも住宅ローンもあり、子供が大学生のためにお金がかかります。その負担にしなさいといって、3人に平等にくれたのです。」、調査官「そのお金は教育資金に使いましたか。」、相続人「他の2人はわかりませんが。私は万が一のためと思い定期預金にしてあります。」、調査官「これはさかのぼって贈与税がかかってしまいますね。計算するとえーと、贈与税は一人53万円です。3人で合計159万円になりますね。加算税10%その他延滞利息の延滞税が全員で6万円くらいになるのではないでしょうか。3人合計すると190万円くらいになってしまいますね。」、相続人「え!」
 贈与税は多くの場合、贈与はわかりにくいのが現状です。しかし、このような相続税調査という特別な場合に発覚してしまうことがあります。別に悪意があてのことではありません。知らないことで損をしてしまう。それが税法です。 

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数年前売った土地のお金、どこにいきました?3

vol.15

 調査官「通帳をみせていただけますか。古い通帳は取ってありますか。」、相続人「そんなに古い通帳はありません。」、調査官「そうですか。ここでは調べられないので、私のほうで職権で銀行を後日探します。この次1ヶ月後に来ますからそれまでにもう一度これに関することを調べていただけませんか。」、相続人「・・・はい、わかりました。」
 1ヶ月後再び税務署員が来訪。調査官「土地を売った後、何回かお金を預金から引き出しされているのですが、どこに行っているかわかりませんか。○月△日と○月×日、あと×月○日と×月△日です。」、相続人「そんなこと言われても私ではなく父のものなのでわかるわけがないじゃないですか。」、調査官「そうですよね。我々もそれを承知であえてお聞きしているのですが。なんとかわかりませんかね。」、相続人「わかるわけありません。」、調査官「4つ合わせると千万円単位のお金になります。これをそのままありませんからといわれても、我々は、はいそうですかと引き下がるわけにはいかないのですよ。」、調査官「どこかにあるはずです。」、調査官「私たちは銀行で、家族全員のお名前の預金を調べましたが、それらしい入金はありませんでした。他県の金融機関か、証券会社、または最近金の地金で家に保管される人がたまにいます。この家のどこかにありませんかね。」、相続人「亡くなってからこれだけ月日がたつのですから、とにかく家にはありません。」
 このようなケースは決して珍しくありません。最終的にわからない場合もあります。床下から出てくる場合もあります。それはさまざまなのですが、とにかく、税務署は遺産総額を確定するために執拗に追っかけてきます。

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