Story of Tax Examination 税務調査物語 相続編

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現金で持てば誰にもわからない ?

vol.26

 「銀行に預けているから人にわかってしまうんだよ、手元に持っていれば人にわからないよ。」といってタンス預金する人がいますね。あの手この手で現金を隠します。自宅の金庫、仏壇、床下、寝室等とかなりさまざまなようです。
 本当にわからないでしょうか。ちょっと振り返ってください。このお金どこからでてきたおかねですか。預金の引き出しですか、株式の売却代金ですか、保険の満期金ですか、土地を売った収入ですか? もしこれらのお金ならば後日、相続税の税務調査があった場合には、ほとんどわかってしまいます。なぜならば、通帳に記載されていたり、税務署に資料がでていたりするからです。
 私はこれを「頭を隠して尻隠さず」と言っています。世の中、尻を隠すことばかり考えて、頭がでていることに気付かない人が多いのです。
 現金をしまいこんでそのまま亡くなって、相続人がその財産を知らなかった場合もあります。相続税の税務調査のおかげで財産が見つかった、ということも笑い話ですが世の中には現実としてあるのです。
 また、現金は100%しまいこんだままにできるのでしょうか。北朝鮮のようにデノミされたら、あっという間に表に出てしまいます。新紙幣の発行で表に出ます。万札を包む帯が古くなると人は新品に札にロンダリングしたくなります。自分の事情ではなく、家族の事情でその一部金を使わなくなければならない事情もあるでしょう。
 何よりも、今現金を持っている人自身は、相続税の税務調査など関係ありません。その方が亡くなった後、その相続人たる子供たちが相続税の税務調査を受けるのです。現金で持つことは税務署の調査官が「一番働きがいのある、やりがいのある環境をつくる」ことになります。彼らは目を輝かせて本気になって正義感を全面的に押し出して調査してきます。場合によっては査察担当が来たりするため、善良な納税者が失礼な言葉で混乱させられるケースもよくあります。「お父さんと一緒にこの財産を寝ずに作ってきたのに、私は犯罪者扱いなのですか?」と涙した奥さんもいました。
 現金として保管していても、キチンと申告さえすればいいのだろう、というのは事実ですが、残された何も知らされていない相続人もことを考えると、税務署の調査官と誤解が生まれる可能性が一番大きいので、現金での保管はお薦めできる運用方法でないことは事実です。

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貸金庫の使用料で発覚。

vol.27

 貸金庫を使うは人多くなっています。いったい何を入れておくのでしょうか。重要な契約書、権利書または現金、さもなくばゴールドでしょうか。貸金庫の使用料はほとんどの場合に通帳から自動引落です。ですから必ず通帳を税務調査官に見られると彼らは通帳の印字を捜し貸金庫があるかどうかを探ります。
 さらに、毎年同じ金額の引落しかを見ます。それはなぜか、それは貸金庫の大きさが大きいものに変えていないかどうかということです。ゴールドだったり現金だったりすると、より広い金庫ではないと入りきれません。そこに目をつけています。
 最近、貸金庫を借りる人が多いので、貸金庫に重要なものが入っている実情を調査官は十分に承知です。必ず、調査官は「その中身を見せていただきたいので、一緒に銀行へ行きましょう。」となります。
 特に最近は調査官は、ゴールドの価格が上昇しているので、貸金庫にゴールドが入っているかもしれないという、直感を持ってきます。もちろん、相続税申告書に記載されていない「隠しゴールド」捜しです。
 調査官「ゴールドを探せ。」と合言葉のように唱えて調査しているかのようです。

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お父さん、子供や奥さんに脱税の汚名をきせてはいけません。

vol.28

 「そこまでわかるかな。」「そんなことまでバレないよ。」と判断してしまうのは多くの場合、相続人である奥さんや子供さんです。突然、父が亡くなり、頭が真っ白になりどうしていいのかわからなくなる。亡くなってから10か月の相続税申告までに、生前に、自分だけが聞かされている、「財産のこと」をそのまま税理士さんに言わないで、将来税務調査で申告漏れの指摘を受けることもありえます。まわりの親戚の人とかの意見で「そこまで税理士さんに話さなくてもいいんじゃないの」と意見を聴き、その結果「生兵法はけがのもと」税務調査でつらい思いをした人はおおぜいいます。税務署になじみがない皆さんが思っている以上に、税務署にはお父さんの資料が集まっているのです。
 お父さんが会社の社長や病院の経営者の先生の場合、所得税の申告書で1年間の収入すべての資料が出ます。さらに、最近の株式売買は、特定口座を通じて源泉税を支払っている人が多いため、証券会社での取引金額が100%わかります。土地の売買は売った人が所得税の確定申告をするため100%資料が出ます。(当事者間の裏金がどうかといわれても私にはわかりませんが)
 また、法人の経営者は会社との貸し借りのやりとりを、役員借入金や役員貸付金で会社の帳簿にきちんとつけているため100%わかります。いついくらを会社から返済してもらったか、会社に貸し付けたかは詳細にわかります。
 相続人のみなさん、世の中に新聞で相続税の脱税という記事はすべて、亡くなった人のやった事ではなく、残された人のやったことなのです。勘違いしないでくださいね。親はこの世にいないのですよ。子供がまわりの話を聞いて、申告するのは愚かなことなのだと言わんばかりにやってしまった行為が新聞の脱税記事を賑わしているのです。
 所得税と法人税は違って稼いだ人が脱税の張本人なのですが、相続税はこれと全く違うのです。残された奥さんと子供の相続税の無理解が、将来その数年後の税務調査で苦しめられ、果ては脱税起訴される人が出るのです。子供または奥さんとは、もう少しご自分の財産について話をする機会をつくるべきです。いつか知られるのですから。
 

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